エレベーターの中では静かなわけ
たとえば、自分の靴をじっと見る。
ちらっと天井に目をやる。
エレベーターのボタンのパネルを、あたかも暗号解読表でも見るように、しげしげと観察する。
見知らぬ人とエレベーターの中で過ごす一分間は、ジュラ紀のように長く感じられます。
たしかに、困惑したり、押し黙ったりする人ばかりではなく、パーティにでも出席したみたいにおしゃべりする人もいます。
少数ながら、積極的にばかをやる人もいて、その迷惑千万なおしゃべりを考えれば、なぜたいていの人がエレベーターの中で話をしないのか、根本的で最も重要な理由が浮き彫りにされます。
・無礼です
三人以上の人間が乗り合わせたエレベーターでは、鼻をつき合わせる距離にいながら、誰かひとりと話して残りの人を無視するのは礼儀を欠く態度です。
しかし、乗り合わせたのがたったひとりの場合でも、人はたいていは押し黙っているのだから、以下の第二の理由が考えられます。